自然災害リスク軽減研究センター

研究テーマ1

短期再来型災害に関する研究

テーマ

極めて降雨強度の高い豪雨の中で、人命を守るための防災技術に関する研究

目的

 2011年の東日本大震災では,これまでの耐震補強等の成果により地震による損傷はある程度抑えられた事例が多く見受けられたが,高速道路や鉄道の高架橋の復旧には数日から数週間を要するなど,修復性や使用性の観点からはまだ十分とは言えないのが現状である.その主な理由として,土木構造物の激強震時特性,崩壊過程が正確に把握されておらず,耐震解析法および耐震性能評価法の精度が十分でないことが考えられる.本研究では,動的挙動が複雑な高架橋など各種土木構造物を対象にし,連動型巨大地震時挙動や破壊・崩壊メカニズムを明らかにすることにより,現状より高度な耐震解析法の提案と有効な損傷制御設計法・補強法の開発を行う.本研究の成果により,土木構造物の耐震設計の理論と手法の高度化が図られ,倒壊・落橋といったリスクの軽減を目指した耐震安全性の確保が期待できる.

内容

 本研究は,連動型巨大地震を受けた場合の,鋼,RCおよびコンクリート充填鋼部材,制震デバイス,連続繊維複合材(FRP)による補強部材などの,構造部材から都市高架橋などの構造システムまでの土木構造物の大地震時挙動,破壊に至るまでの過程などを明らかにし,耐震性や修復性の向上策を検討することを目的とする.本プロジェクトの最終目標は,土木構造物の耐震設計法,損傷制御設計法および補修補強法を確立し,連動型巨大地震による既設の社会基盤施設への影響の評価ならびにリスク低減に対する基礎的データを提供することや,新たに損傷制御構造物を開発することである.
 具体的には,以下の項目について検討をしていく.
① 各種部材の損傷メカニズムの解明(葛,渡辺,岩下)
② 修復性に基づく損傷制御構造物の動的応答と制御設計法の確立(葛・渡辺)
③ 相似則を考慮した分散型サブストラクチャ応答実験システムによる土木構造物の制震構造設計法の確立(渡辺)
④ 構造物の早期復旧のための診断支援技術(近藤,小塩)
⑤ 連動型巨大地震に対する修復性および自己センシング性を有する新型材料および補強技術(岩下)
⑥ 既存構造物の初期損傷ならびに連動型大地震による複合劣化予測(石川)
⑦ 部材の劣化や破壊を考慮した骨組構造に対する3次元複合非線形動的解析法(葛)
⑧ 地震後の構造安全性および使用性を考慮した損傷照査法の開発および補修補強ガイドラインの作成(葛,石川等)