自然災害リスク軽減研究センター

大型構造実験システム(テーマ1)

設備の概要

構造耐震実験室に整備された構造実験システムは,油圧シリンダ,ポンプ,構造フレームユニットから構成されている.今後展開される実験に応じて,自在に組換えすることで多様な載荷実験に対応できる.スイベルジョイントを備えた油圧ジャッキ2基と,2軸受けスライダを併用することで,水平2軸+1軸(死荷重)の3軸同時載荷実験を行うことが可能である.油圧ジャッキの動力ポンプはモータ容量7.5kwを備え,載荷実験に必要な油圧流量を安定して供給する能力を備えている.
 また,構造実験システムを展開するための反力床は専用に設計した鉄骨部材を格子状に接合して,強固なPCスラブと一体化した構造である.規則的に配置されたボルト孔により,構造フレームを確実に固定することができる.

3軸載荷実験システムセットアップ例

  1. 油圧シリンダ(最大荷重±1000kN,ストローク±250mm,両端スイベルジョイント)
  2. 2軸受スライダ&油圧シリンダ(最大荷重2000kN,ストローク300mm,球面軸受けタイプ)
  3. 油圧ポンプユニット(モータ容量:7.5kW,圧力×吐出量:70MPa×6Liter/min(60Hz))
  4. 構造フレームユニット
  5. 反力床(有効エリア13000mm×7600mm)

研究内容例

(1)座屈拘束ブレース(BRB)の研究開発
  橋梁などの構造物に犠牲部材として挿入し,その部材に地震エネルギーを吸収させることで,主構造の損傷を最小限に抑えて健全性を保つことができる座屈拘束ブレース(BRB)の研究開発が精力的に実施されている.本研究は,複数の座屈拘束ブレースを備えた橋脚を対象として,その橋脚に地震動を入力し,制震性能を検証するものである.既往の研究は,ブレースを設置した橋梁の部分模型に対して,振動台による動的加振によって制震効果を検討した事例等がある.しかし,動的加振における実験装置の能力から,実験供試体のサイズが制限されるなど制約条件が多い.本研究は新たに分散した実験システムを同期させ,油圧アクチュエータによる載荷装置と,FEM解析プログラムを融合した分散型サブストラクチャ応答実験を構築し,その実験システムの応答性を検証した上で,並列に設置した2基の座屈拘束ブレースによる鋼製橋脚の制震性能を総合的に検証するものである.

分散型ハイブリッド実験システム