自然災害リスク軽減研究センター

急勾配水路(テーマ3)

設備の概要

 本設備は,幅20cm,深さ40cm,長さ10mのガラス壁を有する水路であり,水平~30度まで傾けることができる.下流端にエスカレーションゲートを有する水路部分,受水槽(沈砂槽),ポンプから構成され,流水は自己循環式となっている.本水路は急勾配で起こる流砂,土石流の基礎現象を室内で再現し,それに伴う流れ,河床高変化の計測を可能とする装置である.なお,給砂装置を搭載することにより一定量の土砂供給を可能とし,かつ,計測台車を載せることで,水位および河床の変化を計測することも可能である.

研究内容例

(1) 浸透流および越水を誘因とした破堤現象の解明

 破堤の原因として,河川水位が堤防高を超えて(越水による)発生する破堤現象と浸透流によって堤防が変形することにより最終的に越流が起こる破堤現象に着目し,例えば水路横断堤防を用いて,そのメカニズムおよび破堤過程について検討する.ここでは,特に浸透流によってどのように堤体が変形していくか,そのメカニズムを解明するとともに,破堤を小規模堤防で再現し,その変形がその後の破堤現象に及ぼす影響を検討する.

浸透流による堤防変形イメージ

越流破堤イメージ

(2)越流破堤イメージ

 堤防法面での土砂の流れ,堤防洗掘につながる急勾配河川における河岸浸食災害等を踏まえ,その検討に必要な基礎知見となる急勾配流れ下の流砂現象の解明をめざす.ここでは,急勾配水路を用いた実験により,例えばレーザーによる流れの可視化を実施しPIV・PTVを援用して粒径に対し水深が小さい場(相対水深が小さい場)の流砂現象と流速分布を計測する.さらに数値解析なども援用し,流砂量や河床変動の予測方法について検討する予定である.

相対水深が低い場での流れイメージ(上は解析用画像)

レーザーによる流れの可視化システム