自然災害リスク軽減研究センター

精密中空ねじりせん断試験装置(テーマ4)

設備の概要

 本設備は地盤材料の地震時の力学挙動を精密に計測するための中空ねじりせん断試験装置である.中空円筒供試体を採用することで,自然堆積地盤内の異方的な初期有効応力状態を忠実に再現した上で,純粋な繰り返し単純せん断を載荷することが可能 となる.本装置の特長は,ACサーボモータの駆動を2つの電磁クラッチならびに電磁ブレーキを用いて制御する特殊機構を有していることであり,瞬時に正転,反転を切り替えて精密予圧ボールねじに駆動力を伝達できる.そのため,反転時のバックラッシュが全くなく,微小ひずみレベルから大ひずみレベルまでをカバーして精密な繰り返し載荷を可能としている.粘性土から砂質土まで幅広い地盤材料をカバーし,また,ペデスタルを変えることにより,繰返し三軸試験も実施可能である.

精密中空ねじりせん断試験装置

◆載荷装置
   ・軸ひずみ載荷:10kN    ・ねじりせん断載荷:300Nm ・軸ストローク:100mm
   ・載荷速度:軸ひずみ速度 1.0~0.0005mm/min ねじり載荷速度 1.0~0.0005度/min  
         (ACサーボモータ制御 電磁クラッチ反転方式)
◆供試体サイズ
   ・直径50mm,高さ100mm(三軸)
   ・外径100mm,内径60mm,高さ100mm(中空ねじり)
   ・外径70mm,内径30mm,高さ100mm(中空ねじり)
◆最大セル圧:1MPa

研究内容例

(1) 自然堆積粘土の動的挙動の把握 と数値シミュレーションへの利用

 東北地方太平洋沖地震では,粘土地盤を基礎地盤とする河川堤防が大変状を起こす被害が多数発生した.粘性土の力学特性を正確に評価した上で,継続時間が長い海溝型地震時の変形挙動を適正に数値シミュレーションすることにより,地震時の粘性土地盤の即時沈下が堤体変状に影響していることが明らかとなった.

※地盤解析コードGEOASIAにて数値シミュレーションを実施